阿部師範講話(要約)
「空手や人間に必要な物の一つとして、集中力が挙げられます。空手が上達する為には『和合』の気持ち、つまり『調和』が必要なのですが、これは集中力が無いと出来ない事です。約束組手の稽古はそれを養うのに最も適していますが、この時に相手と呼吸を合わせる事を意識して稽古しましょう。それが出来る様になれば、試合や実戦で相手の嫌なタイミングで技を出せる様になります。
また、『スパーリング』と『組手』の違いは『真剣さ』にあります。スパーは約束組手の延長であり、相手とタイミングを合わせますが、自分の欠点を見つけにくいという側面も持っています。自由組手はタイミングを外し、自分の技を効果的に相手に当てる事を目的としますが、自分に何が足りないのかという欠点が見えやすいものです。自分自身をより深く知れば、工夫を凝らして欠点を克服しようと努め、強くなっていくものです。
例えば、年齢的にパワーやスピードが落ちてきた人は、間合いを計ったり、駆け引きを用いたりする等、なんとかして自分の欠点を補おうと努力せねばなりません。しかし一方で若い人、そうですね、10代〜20代前半の人なんかは『ムリ』もしなければなりません。精一杯『背伸び』する事も重要なのです。つまりは年齢に応じた稽古法が必要という事ですね。
最後に、空手の組手は『円』でなければなりません。空手の定義としてあるように、『点を起として、円を終とす。線はそれに付随するものなり』という言葉を実践出来る様に頑張りましょう。また、『押忍』という言葉には尊敬・感謝・忍耐の意味が込められています。それらの意味を日常の中にも意識して、あるべき態度をとる様に心がけて下さい。」
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